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【小説】有限と微小のパン は全然完結してなかった

有限と微小のパン / 森博嗣
80 点

物語のエンディングには二種類あります。
全てに答えが出てすっかりしっかりハッピーエンドなスッキリエンディングと、ぬるりと終わってユーザーの想像の余地を残し余韻を楽しませるモヤモヤエンディング。皆さんはどっちが好みですか?
僕はもちろん前者です。ちゃんと話を終わらせて欲しい。当たり前ですね。決して僕の想像力が足りないせいではないです。
ところがこのシリーズは後者でした。シリーズで一番分厚いくせになんだかんだぬるりと終わります。もやもや。

ここまで僕はS&Mシリーズ10作品通して全て読んできましたが本当に色々ありました。「まどろみ消去」なんかに載ってる番外編まで読みましたからね。きっとラストのこの分厚い本で全てがスッキリ終わると思ってました。ところが読み終わってみると、伏線って程ではないものの放置されてる設定がまだ大量に残されたままな気がします。
あれこれで終わり?なんか忘れてない?なんだったっけなー
どうやら森博嗣は僕と同じくらい忘れっぽいようです。

内容は面白かったです。「すべてがFになる」ほどのインパクトはありませんでしたが、ある程度期待してた展開の話でした。完全にSFなのでトリックとかはもうよく分かりませんが。
でもあまりワクワクはしなかった。事件の設定がゴチャゴチャしているせいでしょうか。まあ難しいんでしょうね。
Portalのマップにもあります。やたらスイッチのオンオフがややこしいだけで答えが分かってみると難易度どうこうではなくめんどくさい。イマイチスッキリしない。そんな感じです。
仕方ないんです。難易度を上げるにはステージは複雑になる。シンプルに難しい謎なんてそうそうないんです。ましてシリーズ10作目ともなればミステリガチ勢が目を光らせているのだ。すべFですらみんな犯人読めたわーって言ってるからね。本当かよ。

ただ解説を読んでなんとなく分かったことがあります。
このシリーズはこのシリーズはと今まで言ってきましたが違う。これは森博嗣シリーズなんだと。小説の登場人物は飾り。森博嗣というキャラクターがいかに成長していくかを楽しむシリーズなのだと。これはミステリ界のI wanna be the aho。
つまりこのS&Mシリーズ10作品は森博嗣シリーズの第1話に過ぎない。まだまだ舞台設定説明の場面じゃないですか。そりゃ終わらないわけだ。
そう考えるとこの森博嗣シリーズ、非常に入り組んでいて、ほとんどの作品に時系列があり同じ世界で展開しているんです。S&Mシリーズに出てきたキャラクターは他の様々なシリーズにちょくちょく出たり出なかったり。西之園萌絵も別のシリーズで主人公だったりする。
だから全部の作品を合わせて1つのシリーズなのだと。
作者は引退宣言もしてるし森博嗣シリーズは完結しているということだろう。なるほどね。

それを踏まえて僕は森博嗣シリーズを好きになったのかというと

うーんここで読むのやめたら1話切りってことか……